Listen free for 30 days

Listen with offer

Preview

£0.00 for first 30 days

Pick 1 audiobook a month from our unmatched collection - including bestsellers and new releases.
Listen all you want to thousands of included audiobooks, Originals, celeb exclusives, and podcasts.
Access exclusive sales and deals.
£7.99/month after 30 days. Renews automatically. See here for eligibility.

河童

By: 芥川 龍之介
Narrated by: 斉藤 範子
Try for £0.00

£7.99/month after 30 days. Renews automatically. See here for eligibility.

Buy Now for £8.99

Buy Now for £8.99

Pay using card ending in
By completing your purchase, you agree to Audible's Conditions of Use and authorise Audible to charge your designated card or any other card on file. Please see our Privacy Notice, Cookies Notice and Interest-based Ads Notice.

Summary

『河童』(かっぱ)は、芥川龍之介が1927年(昭和2年)に総合雑誌『改造』誌上に
発表した小説であり、当時の日本社会や人間社会を痛烈に風刺、批判した小説です。
芥川の晩年の代表作のひとつで、また、芥川の命日7月24日が「河童忌」と呼ばれる理由にもなりました。

これはある精神病院の患者、――第二十三号がだれにでもしゃべる話である。

彼はもう三十を越しているであろう。が、一見したところはいかにも若々しい狂人である。
彼の半生の経験は、――いや、そんなことはどうでもよい。

 彼はただじっと両膝をかかえ、時々窓の外へ目をやりながら、
(鉄格子をはめた窓の外には枯れ葉さえ見えない樫の木が一本、雪曇りの空に枝を張っていた。)
 院長のS博士や僕を相手に長々とこの話をしゃべりつづけた。
もっとも身ぶりはしなかったわけではない。
彼はたとえば「驚いた」と言う時には急に顔をのけぞらせたりした。
 僕はこういう彼の話をかなり正確に写したつもりである。

もしまただれか僕の筆記に飽き足りない人があるとすれば、東京市外ララ村のS精神病院を尋ねてみるがよい。
 年よりも若い第二十三号はまず丁寧に頭を下げ、蒲団のない椅子を指さすであろう。
それから憂鬱な微笑を浮かべ、静かにこの話を繰り返すであろう。

 最後に、――僕はこの話を終わった時の彼の顔色を覚えている。彼は最後に身を起こすが早いか、
たちまち拳骨をふりまわしながら、だれにでもこう怒鳴りつけるであろう。

――「出て行け! この悪党めが! 貴様も莫迦な、嫉妬深い、猥褻な、ずうずうしい、
うぬぼれきった、残酷な、虫のいい動物なんだろう。出ていけ! この悪党めが!」


芥川龍之介
1892年〈明治25年〉3月1日 - 1927年〈昭和2年〉7月24日) 代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、
文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、
たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
©2022 PanRolling
activate_Holiday_promo_in_buybox_DT_T2
activate_samplebutton_t1

What listeners say about 河童

Average customer ratings

Reviews - Please select the tabs below to change the source of reviews.